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KINAN RACING

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Flashback to victory-トマ・ルバ優勝 ツール・ド・熊野2019第2ステージ

過去の名レースをプレイバックする企画「Flashback to victory」。
現所属メンバーの勝利レースをレビューしていきたいと思います。

これから数回は、わがチームのホームレースであるツール・ド・熊野の戦いを振り返っていきます。
まずはトマ・ルバ選手が制した2019年大会の第2ステージを。

記憶に新しいこの勝利ですが、熊野山岳が舞台となるクイーンステージの制覇がいかに価値あることか。
それを改めて感じていただけたらと思います。
■まえがき

第2ステージを迎える段階で、総合での上位進出の可能性が薄くなっていたトマ選手にとっては、失うものが何もない状況となっていました。

プレッシャーから解放されたから…といった理由ばかりではないでしょうが、この日のトマ選手はとにかくスーパーでした。
総合上位につけていた山本大喜選手が山岳で苦しんでいると見るや引き上げ役を買って出て、さらには慌ただしいプロトンの動きを落ち着かせようと自らアタック。
総合に関係していないトマ選手の飛び出しは、メイン集団を鎮めるとともに、チームメートの負担を減らす大きな効果となりました。

レースを終えたトマ選手に話を聞くと、独走になってからも後方の情勢を把握し、ライバルの猛追、さらには追いつかれてからの展開までもマネジメントできていたといいます。
そんな彼のクレバーさ、スマートさにはただただ驚くばかり。
何より、約1年間勝ち星のなかったチームに大きな1勝をもたらし、後々のレースへ続く良い流れを引き寄せたことも見逃せません。

KINAN Cycling Teamにとって悲願であるツール・ド・熊野のタイトル。
手が届きそうで簡単には届かないその頂へ、これからも壮大なミッションにチームはチャレンジを続けます。

-メディアオフィサー 福光俊介
トマ・ルバが意地の熊野山岳征服
劇的な形でチームにシーズン初勝利をもたらす
●ツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)
第2ステージ 熊野山岳 109.3km

●KINAN Cycling Team出場選手
山本元喜
マルコス・ガルシア
山本大喜
サルバドール・グアルディオラ
トマ・ルバ
新城雄大
ツール・ド・熊野の命運がかかったクイーンステージ。
荘厳な山々をめぐった1日でKINAN Cycling Teamはトマ・ルバが会心のステージ優勝。
チームにとってついにやってきたシーズン初勝利は、ホームの熊野で得ることとなった。
三重県熊野市、紀和町、御浜町の3市町にまたがるコースが設定される第2ステージ。
温浴施設「熊野倶楽部」を発着点に、2.7kmのパレード走行を経てリアルスタート。
109.3kmのコースはまず、山の斜面に作られた棚田群「丸山千枚田」を上り、1つ目の山岳ポイントを通過。
いったん下って迎えるは今大会最大の山岳ポイントである札立峠。
再び下った後、レース序盤に走った区間を再度通過して最後の難所となる2回目の丸山千枚田登坂へ。

ポイントとなるのは登坂力はもとより、その後のテクニカルなダウンヒル。
3つのカテゴリー山岳通過後すべてに共通する要素となり、上り・下りともにいかに攻められるかが勝負のカギとなる。
また、2回目の丸山千枚田頂上からフィニッシュ地点までは16.5km。
下りと平坦基調によるレース終盤の駆け引きも見ものとなる。例年激しい勝負が繰り広げられており、総合争いの行方を占うクイーンステージであることは誰もが認める。

KINAN Cycling Teamは例年、このステージでライバルとの熾烈な争いを繰り広げている。
トマは2年前のこのステージで優勝。
昨年もマルコスやサルバドール・グアルディオラが総合上位進出をかけて再三の攻撃を見せた。
今年は、前日の第1ステージで山本大喜と新城雄大の好走で総合上位が見える位置につけており、さらなる順位のアップを目指しつつ、チーム全体でステージ優勝も目指していく。
山本元喜のファーストアタックで火ぶたが切られたレースは、しばし出入りの激しい状況が続く。
山本元が再三にわたってアタックしたが、メイン集団の容認を得るところまではいかず、そのまま1回目の丸山千枚田登坂へと突入していく。
この日最初の山岳ポイントとなる千枚田頂上へ向かって動いたのはマルコス。
そのまま頂上1位通過を決める。
こうした動きによってレース前方は精鋭だけが残る形となる。
ダウンヒル区間を経て2つ目の山岳となる札立峠へ向かう区間では、新城が数人とともに逃げを試みるが集団の容認は得られず。
約40人が一団となって札立の険しい上りへと入っていく。

札立峠へ向かう上りに入ると、アタックの応酬はさらに激しさを増す。
総合上位陣の動きに山本大が対応したほか、マルコスが再三のアタック。
やがてリーダージャージのオールイス・アウラール選手(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)が自らチェックに出るなど、KINAN勢の強力な攻撃が際立つ。
連続して攻撃を繰り出したマルコスは、山頂まで約2kmのところで独走に持ち込み、山岳ポイントを再び1位通過。
山岳賞争いで完全に抜け出すことに成功した。
マルコスは下りで集団へと戻るが、精鋭に絞られた先頭グループは加速度を増していく。
下りでの勢いのまま、サルバドールが逃げを狙って先行。
これは集団へと戻されるが、この直後にトマがアタック。
さらに続く下りを利用して後続との差を広げていく。
リーダーチームのマトリックスパワータグがコントロールするメイン集団は、トマの飛び出しに加え、もう1選手の追走を容認。
独走態勢に持ち込んだトマは、メイン集団に対して最大で約2分のリード。
追走とは40秒前後の差で推移し、この日最後の上りとなる2回目の丸山千枚田へと向かっていった。
しっかりとしたペダリングで丸山千枚田を上るトマは、頂上に設けられた山岳ポイントも1位で通過。
一方で、追走するドリュー・モレ選手(オーストラリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム)がペースを上げ、トマとのタイム差を徐々に減らしていく。
上りを終える頃には約30秒差まで迫り、直後の下りをこなすと両者の差はさらに縮まっていった。
懸命に逃げ続けたトマだったが、勢いづいたモレ選手の姿が大きくなってくる。
そして残り7km、ついに2人が一緒になる。
この間、メイン集団に対して十分なリードを奪ったことにより、トマとモレ選手によるステージ優勝争いへ。
メイン集団では丸山千枚田の上り以降、マルコスらが次々と攻撃を仕掛けたが、決定的な局面とまではいかず。
山本大は上りで一時後方へと下がったが、ダウンヒルで挽回しメイン集団への復帰を果たした。
勝負の行方は先頭2人のマッチスプリントに。
互いに様子を探り合いながらフィニッシュまでの残り距離を進む。
そして、決定的な場面は残り200mでやってきた。
上り基調となる最終局面で仕掛けたのはトマ。
これに合わせるようにモレ選手も食らいつくが、トマは先頭を譲らずステージ優勝を決めた。
トマにとって、熊野山岳をめぐるこの大会のクイーンステージ勝利は2年ぶり。
前日は6分以上の遅れを喫し、雪辱を期して臨んだこのステージで会心の勝利を挙げた。
レース中盤の札立峠では、頂上手前で後方へ下がった山本大を集団復帰させるべくアシストを担い、さらには長距離の独走劇。
最終局面を前にモレ選手の合流を許したが、最後はしっかりと勝ちきるスマートさを見せた。
ツール・ド・熊野第2ステージ(109.3km)結果
1 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 2時間40分7秒
2 ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) +0秒
3 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +24秒
4 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア)
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
6 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム)
11 山本大喜(KINAN Cycling Team)
12 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
27 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +49秒
41 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分37秒
58 山本元喜(KINAN Cycling Team) +11分13秒
※レースレポートは2019年6月1日付メディアリリースから
※レースレポートの一部に加筆・修正・削除を施しています
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サイクリングch-ツール・ド・熊野2019 第2ステージ 熊野山岳コース(109.3km)

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