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KINAN RACING

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Flashback to victory-山本元喜優勝 全日本選手権ロードレース2018

新型コロナウイルス感染拡大によるレース中止措置が続き、KINAN Cycling Teamも次のレース、さらには今後のスケジュールが見えてこない状況です。
そんな中でも前向きに、来る再開の日を目指して日々できる限りのことに取り組んでいます。

チームWEBでは、日頃支えてくださるスポンサー・サプライヤー企業、ファンのみなさま、さらにはこれからロードレース観戦を楽しもうという方との連帯の証として、過去の名レースをプレイバックする新企画をスタートさせます。

その名も、「Flashback to victory」。

現メンバーが勝利したレースのレポートを再編集。
レポート本文は当時のまま。
そして未公開を含む、数々の写真とともにあの時の感動を蘇らせたいと思います。

その第1回は、山本元喜選手が勝利した2018年の全日本選手権ロードレース。
選手、チームの強さを再認識するべく、ぜひご覧になってください。
■まえがき

2018年のKINAN Cycling Teamは、シーズン序盤から絶好調。
山本大喜選手のアジアタイトル獲得、スリランカ Tカップでの中島康晴選手の個人総合優勝、ツアー・オブ・ジャパンでのマルコス・ガルシア選手の個人総合優勝と、破竹の勢いで勝っていきました。

同時に、チーム内競争も激しさを増していきます。
これからご覧いただく全日本ロードを制する山本元喜選手ですが、好調なチームにあってレースメンバーから外れることもしばしば起きていました。
そんな状況下での起死回生の日本タイトル獲得。
改めて、このチームの層の厚さ、そして日本人選手だけでも十分にビッグレースを戦えることを示した大きな勝利でした。

-メディアオフィサー 福光俊介
山本元喜が2018年のロードレース日本一に
鮮やかな連携で新城雄大とワン・スリーフィニッシュ
●全日本選手権自転車競技大会–ロードレース(2018年6月24日)
男子エリート 14.2km×15周回 213km

●KINAN Cycling Team出場選手
山本元喜 
中西健児
雨乞竜己
中島康晴
新城雄大
サイクルロードレースにおける2018年シーズンの日本一を決める、全日本自転車競技大会-ロードレースの最終種目、男子エリートで山本元喜が最終周回でのアタックを成功させ、独走で優勝。
エリートカテゴリーでは初となる日本チャンピオンとなった。
序盤から新城雄大とともに先頭グループに入り、終盤は2人の連携で数的優位な状況を作りだした。
その新城も3位となり、ワン・スリーフィニッシュを達成した。

6月22日の開幕から、各カテゴリーで熱戦が展開されてきた今大会。
大会2日目、23日に行われた男子アンダー23では、山本大喜が9位。
KINAN Cycling Teamとしては、優勝者に与えられる日本チャンピオンジャージの獲得を最終日の男子エリートにかけることとなった。

IRC TIRE さまのご好意で、出展ブースをチームピットお借りした

その男子エリートは14.2kmのサーキットコースを15周回する213kmで争われた。
周回前半は最大勾配8%の上りが続き、後半からは下り基調。
大会を通じ、ここまで独走か数人に絞られた中での優勝争いが続いてきた。
実力がより拮抗する男子エリートでは、どんなレース展開となるかも大きな見どころ。
獲得標高はおおよそ4000mにものぼり、暑さも相まってサバイバル化することが予想された。

チームピット近くの体育館をウォーミングアップスペースとしてお借りできるなど他チームより有利な条件が整っていた

そんなタフなレースに、KINAN Cycling Teamから山本元と新城のほか、中西健児、雨乞竜己、中島康晴の5選手が出場。
各選手好調でこのレースを迎えた。
チームによって出走人数にばらつきがあり、5人出走は決して多いとは言えないが、コース適性の高いメンバーをそろえ、いかにレースの流れや勝負どころを見定めるかが上位進出のカギとなった。

レースを控えた山本元喜の表情

午前9時の号砲とともにスタートが切られると、1周回目から有力チーム・選手が乗じる逃げグループが形成された。
KINAN勢ではまず、山本元が合流。
2周回目に入って新城も加わり、最大で32人もの先頭グループに膨らむ。
優勝候補選手の一部が残る形となったメイン集団には、KINAN勢では中西、雨乞、中島が待機する。

30人を超える逃げグループに加わった山本元喜

その形勢のまましばらくは大きなアクションはなく、7周回目の途中でタイム差がこの日最大となる9分以上の開きとなる。
これを機に少しずつタイム差は縮まっていくが、メイン集団が先頭グループを射程圏にとらえるまでには至らない。
11周回目に入って先頭グループからアタックする選手が現れたこともあり、ここからいよいよ活性化。
先頭の人数が絞られていくが、KINAN勢2人は問題なく対応した。

先頭グループの活性化にも冷静に対処した

大きな局面を迎えたのは、続く12周回目。
長い上りを利用してアタックが発生すると、山本が反応。
追随する選手を振り切って、先に飛び出していた小石祐馬選手(チーム UKYO)と逃げの態勢を整える。
さらにその後方で生まれた4人の追走グループには新城が加わる。
新城は前方に山本元が逃げていることもあり、追走グループのローテーションには意図的に加わらない。

12周回目に形成された2人の先頭グループに山本元喜が加わる

山本元らの2人逃げのまま周回数を重ねたが、追走グループも徐々にタイム差を縮め、14周回目に先頭へ合流。
追走もこの頃には佐野淳哉選手(マトリックスパワータグ)と新城の2人に絞られ、そのまま4選手による優勝争いのムードなっていく。
その直後、急坂区間で佐野選手がアタック。
これに即座に反応したのが山本元。下り基調の周回後半には新城が小石選手を振り切って、山本元が走る位置まで再合流を狙う。
そして、最終周回を目前に新城が追いつき、3人で残り1周回の鐘を聞いた。

3人中2人がKINAN勢となった先頭グループ。最終周回の鐘を聞く

決定的な瞬間は、この日たびたび動きが発生していた長い上りだった。
山本元が渾身のアタックを繰り出し、単独先頭に立つ。
佐野選手が約10秒差で続くが、山本元の乱れのないペースに、少しずつその差が開き始める。
一時は40秒差にまで広がり、そのまま勝負あり。

独走に持ち込んだ山本元。
残り300mからフィニッシュまでの最後の直線は、さながらウイニングライド。
残り100mで優勝を確信すると、最後は両拳を掲げてフィニッシュへ。
勝利を信じ待ち続けた仲間のもとへと飛び込んだ。

山本元喜 日本王者となった瞬間

山本元にとって、ロードの日本タイトルは通算3回目。
過去2回はいずれもアンダー23でのもので、最上位のエリートでは初の頂点となる。
この大会に向けて約1週間、開催地近くに滞在し、調整やコース研究に時間を割いた。
ピーキングの成功はもとより、入念な準備も勝因といえそうだ。
表彰式では晴れの日本チャンピオンジャージに袖を通し、今後1年間にわたって着用してレースに出場していくことになる。

そして、山本元とともに序盤から前方でレースを進め、終盤にかけて最高のコンビネーションで貢献した新城も3位でフィニッシュへ。
山本元やチームスタッフが待ち構える中、こちらもガッツポーズでレースを終えた。
パーフェクトなレース展開でワン・スリーフィニッシュを達成した。

山本元喜と新城雄大の2人が表彰台を占めた

このほかKINAN勢は、終盤に上位狙いの動きに切り替えた中島がポジションを上げていき、最終的には7位。
中西も23位で完走している。トップ10に3選手を送り込むことに成功し、国内選手権上位者に付与されるUCIポイントを3選手分合計で180点を獲得した。

チームにとってテーマの1つでもある、日本人選手でのレース構築を実践する場でもあった今大会。
日本チャンピオンジャージの獲得という最高の形で、選手たちはその成果を示してみせた。
全日本選手権自転車競技大会2018–ロードレース・男子エリート(213km)結果
1 山本元喜(KINAN Cycling Team) 5時間46分53秒
2 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) +32秒
3 新城雄大(KINAN Cycling Team) +2分43秒
4 入部正太朗(シマノレーシング) +4分26秒
5 平塚吉光(チームUKYO) +4分32秒
6 小石祐馬(チームUKYO) +4分39秒
7 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4分44秒
23 中西健児(KINAN Cycling Team) +10分37秒
DNF 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)

2019年6月までの1年間、日本チャンピオンジャージで国内外のレースを戦った

※レースレポートは2018年6月24日付メディアリリースから
※レースレポートの一部に加筆・修正・削除を施しています
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Race report, Photos, Re-edit: Syunsuke FUKUMITSU
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