Race Report
ツール・ド・熊野 第3ステージ・熊野山岳
総合争いの山場でKINANが攻勢 橋川丈が10位で最終日、チームはステージ優勝を狙う
●ツール・ド・熊野2025(UCIアジアツアー2.2)
5月9日 第3ステージ・熊野山岳コース
18.5km+17.2km×4laps+20.4km=107.7km
・出場選手
山本元喜
橋川丈
ルーカス・カーステンゼン
レイン・タラマエ
トマ・ルバ
小石祐馬
ツール・ド・熊野最大級の山場となった第3ステージで、KINAN Racing Teamは総力戦を仕掛けた。
序盤からレースの流れに関与し、トマ・ルバが前方で勝負に絡むと、終盤は橋川丈の総合順位浮上へ向けてチームが一丸に。
勝利には届かなかったものの、最終日へつながる意思を示す一日となった。

ツール・ド・熊野第3ステージは、獲得標高が2000mを超える難関ステージ。
熊野防災公園をスタートすると、緩やかな登坂と下りを経て紀和町方面へ進み、KOMに設定された丸山千枚田への登坂を軸とする周回コースへ入る。
この周回を4度繰り返すレイアウトで、赤木城周辺や田平子峠を含む起伏の激しい構成が特徴。
昨年もこのステージでの展開が個人総合優勝に大きく影響しており、総合力が問われる本大会屈指の山岳ステージとなる。

前日の厳しいレースを耐え抜いた57名がスタートラインへ。
KINAN Racing Teamは6名全員を残して大一番に臨んだ。フルメンバーで戦えるチームにとってはまたとない好機。総合力で打ち勝つべく、ステージ優勝と総合首位奪取を狙った。

スタート後は、小石祐馬、トマ・ルバ、ルーカス・カーステンゼンが序盤の集団コントロールや逃げを潰す動きを担う。
さらに機を見て山本元喜がアタックを仕掛けるなど、チームは前半から存在感を示した。

1回目の丸山千枚田頂上付近では、アタックした選手を追う動きの中で、トマが集団を牽引。
さらにその後の下り区間で、トマがレオネル・キンテロ選手(ヴィクトワール広島)とともに先行する。

2回目の丸山千枚田も、先頭2名の逃げ体制は変わらず。トマは山頂をトップで通過し、山岳ポイントを獲得した。後続のメイン集団では、レイン・タラマエを要としながらチームが前方をキープ。
個人総合リーダージャージの動きをうかがいつつ、レースを進めた。

3回目の丸山千枚田でも、先頭2名は協調体制を維持。
このKOMもトマがトップで通過し、バーチャルながら山岳リーダーに浮上する。

その後方では、丸山千枚田へ差し掛かる前にチーム右京がペースアップ。
登坂に入ると、チームメイトのアシストを受けたニコロ・ガリッボ選手がアタックを仕掛けた。
この動きによってメイン集団は分断され、いくつかのパックに分かれて登坂を進むことになる。
やがて下り区間を経て、先行していた2名へ追走勢が合流。
20名ほどの集団が再形成され、レースは振り出しに戻った。KINAN勢もこの展開に全力で食らいつき、トマ、橋川丈、レインが先頭集団に残った。

そして最後の丸山千枚田に入ると、再びガリッボ選手がアタック。
この強烈な仕掛けに対し、KINAN勢は一定のペースで追うことを選択する。トマが10名ほどの小集団を率い、前を追いかけた。

先頭では、ガリッボ選手を追ったルーク・バーンズ選手(ヴィクトワール広島)が単独で合流。
フィニッシュまで残り20kmを切っても、先頭2名との差は1分以上残ったまま。
追撃のアタックが散発する一方で、追走集団の意思はまとまりきらない。
決断を迫られたKINANメンバーは、トマに加えてエースとして控えていたレインも追撃に加担。
個人総合リーダーに対して最もタイム差の少ない橋川に勝負を託すプランを選んだ。

2人の懸命な牽引によってタイム差はみるみる縮まったものの、先頭2名には届かず。
ガリッボ選手が先着し、ステージ優勝を許す形となった。
さらに残り3kmからは、KINAN勢を含む追走集団から数名が抜け出す。
残されたグループの中で、橋川が帰還すると、全体8位でフィニッシュ。これにより個人総合では、橋川がトップと48秒差の10位につけた。

優勝へ向けた道のりは険しくなったものの、チームは1つでも順位を上げること、そしてステージ優勝を視野に入れながら最終ステージへ向かう。
最終日となる第4ステージは、和歌山県太地町を舞台とする「太地半島周回コース」。
くじら浜公園前をスタート・フィニッシュ地点とし、太地港、梶取崎、道の駅「たいじ」方面を巡る104.3kmで争われる。
海沿いの登坂や急な下り、ヘアピンカーブなどが組み込まれたテクニカルなレイアウトで、最後まで気の抜けない一日となる。

●選手コメント
橋川丈
「最後、20kmを切ってからは、トマさんとレインが力づくで追走グループを牽引してくれました。力のある2人にアシストを受けたので今できる最善の結果を求めて走りました。結果的に、この集団では2位でしたけど、最後まで責任を持って走れたと思います。ベストな結果ではなかったですが切り替えて最終日、ステージ優勝をチームで狙います。個人総合時間でもまだ順位を上げられるチャンスがあるので併せてトライしていきます」
Photos, Text: Ryo KODAMA
Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU
ステージ成績
- 1 ニコロ・ガリッボ(チーム右京) 2時間43分28秒
- 2 ルーク・バーンズ(ヴィクトワール広島) +2秒
- 3 ファーガス・ブラウニング(トレンガヌサイクリングチーム) +8秒
- 4 エリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島)
- 5 ゼブ・キフィン(トレンガヌサイクリングチーム) +18秒
- 6 織田聖(AISAN RACING TEAM) +22秒
- 8 橋川丈(KINAN Racing Team)
- 18 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team) +47秒
- 20 トマ・ルバ(KINAN Racing Team) +1分56秒
- 33 山本元喜(KINAN Racing Team) +9分31秒
- 35 小石祐馬(KINAN Racing Team)
- 48 ルーカス・カーステンゼン(KINAN Racing Team) +12分44秒
2026 個人総合時間
- 1 ルーク・バーンズ (ヴィクトワール広島) 8時間29分57秒
- 2 ニコロ・ガリッボ(チーム右京) +14秒
- 3 ニルス・シンシェク(リーニン・スター) +21秒
- 4 ファーガス・ブラウニング (トレンガヌサイクリングチーム) +25秒
- 5 エリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島) +32秒
- 6 ゼブ・キフィン (トレンガヌサイクリングチーム) +45秒
- 10 橋川丈(KINAN Racing Team) +48秒
- 18 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team) +1分20秒
- 19 トマ・ルバ(KINAN Racing Team) +2分23秒
- 31 小石祐馬(KINAN Racing Team) +10分4秒
- 35 山本元喜(KINAN Racing Team) +11分51秒
- 48 ルーカス・カーステンゼン(KINAN Racing Team) +14分34秒
ポイント賞
- 12 ルーカス・カーステンゼン(KINAN Racing Team) 16pts
- 22 橋川丈(KINAN Racing Team) 1pts
山岳賞
- 2 トマ・ルバ (KINAN Racing Team) 16pts
- 10 山本元喜(KINAN Racing Team) 5pts
- 13 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team) 3pts
- 17 小石祐馬(KINAN Racing Team) 2pts
- 19 橋川丈 (KINAN Racing Team) 1pts
チーム総合時間
- 1 ヴィクトワール広島 25時間31分37秒
- 2 KINAN Racing Team +2分46秒