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トマ・ルバ個人総合優勝! ツール・ド・インドネシア 第5ステージレポート

トマ・ルバがツール・ド・インドネシア個人総合優勝
UCIアジアツアーの洗礼を受けるもチーム力で打開しジャージを守り抜く
●ツール・ド・インドネシア(UCIアジアツアー2.1)
第5ステージ グリマヌク~バトゥール・グローバル・ジオパーク 136.8km

●KINAN Cycling Team出場選手
山本元喜
マルコス・ガルシア
サルバドール・グアルディオラ
トマ・ルバ
新城雄大
インドネシアで行われてきたステージレース「ツール・ド・インドネシア(UCIアジアツアー2.1)」は8月23日に最終日を迎え、前日に総合首位に浮上したトマ・ルバがリードを守り切り、個人総合優勝を達成。
2019年大会の王者に輝き、レースリーダーの証であるグリーンジャージを獲得した。
この日行われた第5ステージの途中では一時逃げグループに大差を許す展開となったが、最後はチーム力を持って局面を打開した。

今大会最難関のクイーンステージと目された前日の第4ステージでKINAN Cycling Teamは、トマがステージ2位。
優勝こそ譲ったものの、アジアの名峰・イジェン山の上りで実力を発揮。
個人総合争いのライバルたちを引き離すことに成功し、グリーンジャージを獲得した。
第2ステージ以降守っている山岳賞も盤石の態勢で、2冠をかけて最後のステージに挑むことになった。
また、マルコス・ガルシアがステージ4位、サルバドール・グアルディオラも9位と続いたほか、献身的なアシストを見せた山本元喜も粘って20位でフィニッシュ。
個人総合で10位と好位置につける。

この日は早朝にフェリーでバリ島へ移動

そして、8月19日から展開されてきた戦いは、いよいよこの日のステージで最後となった。
第5ステージは、前日までのジャワ島を離れ、バリ島へ移動。
同島の西側に位置する港、グリマヌクからバトゥール・グローバル・ジオパークまでの136.8km。
コースは、スタートからしばらくは海沿いの平坦路をゆくが、後半にかけて上り基調へと変化。
山岳ポイントを通過後にいったん下って、フィニッシュのバトゥール・グローバル・ジオパークに向かって再びの登坂。
山岳区間は全体的に舗装が荒く、残り25kmからは未舗装区間も現れる。
大会の最後にやってきた難コースを前に、KINAN Cycling Teamはトマの個人総合首位のキープを最優先することを確認。
ライバルたちの動きを注視しながら、最終目的地を目指していく。

レースに向けウォーミングアップを行う山本元喜

最終日とあって、やはり残りわずかなチャンスに賭ける選手たちがアクチュアルスタート直後から次々とアタック。
激しい出入りの中、レース序盤が進行していく。
この状況がしばらく続いたが、30km地点を迎えたところで7人が先行を開始。
個人総合での最上位はトップのトマから約6分差の選手とあり、この段階でKINAN勢が集団を落ち着かせてコントロールを本格化。
0km地点を過ぎたところでのタイム差は5分30秒。
メイン集団は新城雄大や山本がペーシングを担う。

レース状況が一変したのは、70kmを過ぎたあたり。
タイム差を知らせる情報が錯綜したことや、通過する都市の交通規制が混乱したことが関係し、あっという間にその差が大きく広がってしまったのだ。
90km地点でのタイム差は、この日最大の10分25秒となった。

だが、ここからがKINAN勢の見せ場となった。
大差になっていることを確認すると、新城や山本がペースを上げ、レース後半の山岳区間に入るとサルバドールとマルコスが登坂力を武器に前を行く選手たちとの差を縮めていく。
同時にメイン集団は崩壊し、徐々に人数が絞られていく。
この日2つ目のカテゴリー山岳が設置された126km地点では4分45秒差として、リーダージャージキープに向けて状況を整えていく。

この間、先頭は2人となりステージ優勝争いへとシフト。
結果、最終盤に独走へと持ち込んだベンジャミン・ダイボール選手(オーストラリア、チーム サプラサイクリング)がこのステージの勝者となった。

リーダージャージで最終日に臨んだトマ・ルバはステージ8位。個人総合首位の座を守り抜いた

ダイボール選手のフィニッシュから約5分。
トマを含むクライマーたちの集団がやってきた。
サルバドール、マルコスが役割を終えてからは、トマが自らこのグループを率いてペースアップ。
ステージ3位争いのスプリントからは後れを取ったが、総合においては安全圏でフィニッシュラインを通過。
この瞬間、トマの個人総合優勝が決定した。

スタート直後からライバルとなりうる選手たちの動きはしっかりとチェックし、逃げを狙う選手たちのアタックを選別しながらレースコントロールに持ち込んだKINAN勢。
途中、思わぬ形で先頭グループに大差を許すことになったが、そこはUCIアジアツアーを戦う中で培った走り方やメンタルで苦境を乗り切った。

個人総合上位3選手の表彰

インドネシアでの全5ステージを終えて、トマは個人総合のグリーンジャージと山岳賞のブルージャージを獲得し、2冠を達成。
チーム総合でも3位とし、その力を示すこととなった。今大会に臨むうえでのテーマの1つであったUCIポイントの獲得は、139点。
大会を制したトマにとどまらず、第3ステージで3位となった新城ら日本人メンバーの走りも高い貢献度となった。

「5人で勝ち取ったリーダージャージ」であることを強調したトマ・ルバ。メンバー全員でジャージに手を添えて記念撮影

シーズン後半戦最初のヤマ場として挑んだツール・ド・インドネシアを成功裏に終えたKINAN Cycling Team。
ここで得た勢いを、その後のレースにもぶつけていくことになる。
なお、チームの次の公式戦は、9月1日のシマノ鈴鹿ロードレースクラシックを予定。
その2日前には三重県・松阪競輪場で開かれるバンクリーグ第2戦に臨むことにもなっている。
ツール・ド・インドネシア第5ステージ(136.8km)結果
1 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チーム サプラサイクリング) 3時間36分25秒
2 イェロエン・メイヤース(オランダ、タイユアンミオジェサイクリング) +1分0秒
3 アミール・コラドウズ(イラン、タイユアンミオジェサイクリング) +4分58秒
4 メトケル・エヨブ(エリトリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム)
5 ジェシー・イワート(オーストラリア、チーム サプラサイクリング)
6 アンガス・ライオンズ(オーストラリア、オリバーズリアルフードレーシング)
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +5分4秒
10 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +6分20秒
37 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +23分25秒
65 新城雄大(KINAN Cycling Team) +34分2秒
73 山本元喜(KINAN Cycling Team) +38分5秒


個人総合
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 20時間7分32秒
2 アンガス・ライオンズ(オーストラリア、オリバーズリアルフードレーシング) +1分31秒
3 イェロエン・メイヤース(オランダ、タイユアンミオジェサイクリング) +1分46秒
4 ジェシー・イワート(オーストラリア、チーム サプラサイクリング) +4分30秒
5 クリスティアン・ライレアヌ(モルドバ、チーム サプラサイクリング) +4分43秒
6 メトケル・エヨブ(エリトリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) +5分4秒
21 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +31分13秒
32 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +43分0秒
33 山本元喜(KINAN Cycling Team) +43分13秒
37 新城雄大(KINAN Cycling Team) +53分51秒


ベストアジアンライダー
1 ゴー・チュンファン(シンガポール、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) 20時間20分40秒
16 山本元喜(KINAN Cycling Team) +30分5秒
20 新城雄大(KINAN Cycling Team) +40分43秒


スプリント賞
1 ローハン・ドゥプローイ(南アフリカ、プロタッチ) 54pts
5 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 23pts
14 新城雄大(KINAN Cycling Team) 10pts
20 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 6pts
24 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 5pts
27 山本元喜(KINAN Cycling Team) 3pts


山岳賞
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 63pts
6 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 34pts
11 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 11pts
27 山本元喜(KINAN Cycling Team) 1pts


チーム総合
1 チーム サプラサイクリング 60時間21分6秒
3 KINAN Cycling Team +28分3秒
●選手コメント
・トマ・ルバ
「ハードなレースになることは想定していた。コース上がオープンになってしまっている状況があり、先頭グループとのタイム差が思っていた以上に広がってしまったが、(新城)雄大と(山本)元喜が素晴らしいコントロールをしてくれて、山岳に入ってからはサルバの牽引が本当に強かった。そのおかげでグリーンジャージをキープすることができた。もちろんこの結果はみんなで力を結集させたことによるもので、とても美しい優勝になった。

(ステージ3位に入った)第2ステージ後にも感じたことだが、シーズン後半戦に入ってみんながよい働きを見せていて、厳しいシーズンインだったチーム状況を切り替えられている。まずは今日の勝利の喜びに浸るとして、明日からは次の大きな目標へ向かっていく。チーム全員がよいコンディションにあり、力を合わせて戦うことがとても楽しみだ」
※レポートはメディアリリースから

Report, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU
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