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KINAN RACING

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ジャパンカップ サイクルロードレース レポート

トマ・ルバがワールドチーム勢に交じり優勝争い
アジア最大級のレース・ジャパンカップで気を吐く
●ジャパンカップ サイクルロードレース
10月16日(日)
10.3km×14周=144.2km

・出場選手
山本元喜
仮屋和駿
マルコス・ガルシア
トマ・ルバ
山本大喜
新城雄大
アジア最高クラスのワンデーレース「ジャパンカップ サイクルロードレース」が10月16日に開催された。
アフターコロナの機運が高まる中でのレース実施で、実に3年ぶりとなるワールドクラスの戦いが繰り広げられた。
KINAN Racing Teamはトマ・ルバが最終周回まで先頭グループで展開。
最後の力勝負に挑み、8位で走り終えた。
アジア圏では唯一となる、UCIプロシリーズの1つとして行われるこの大会。
競技を統括する国際自転車競技連合(UCI)が公認する国際レースの中では第2階層にあたり、世界のトップチームから日本やアジアを拠点とするチームまで、幅広く参加資格が与えられている。
その意味で、レースバリューやプライオリティはアジア屈指とされ、世界的にも戦いの行方は注目をされる。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大にともない、ここ2年間は中止を余儀なくされてきた。
今年は復活を遂げる大会であり、中止前と同様に世界トップのチームを多数招聘。
KINAN Racing Teamを含む日本籍チームがそれを迎え撃つ構図が見どころでもある。

14日から関連イベントが始まっており、15日にはジャパンカップクリテリウムを実施。
これにKINAN Racing Teamからは6選手が臨み、中島康晴が12位でフィニッシュ。
続くメインイベントのロードレースは、中島とトマが入れ替わり、山本元喜、仮屋和駿、マルコス・ガルシア、山本大喜、新城雄大の5人が引き続き出走する。
ロードレースは宇都宮市森林公園に舞台を移し、同園を基点とする10.3kmのコースを14周回。総距離は144.2kmとなる。
この間、ジャパンカップ名物の古賀志林道の急坂を通過し、テクニカルなダウンヒルや細かなアップダウンをこなす。
また、3周回おきに古賀志林道の頂上に山岳賞が設定され、沿道で待ち受ける大観衆の盛り上がりもこの大会ならではである。
午前10時の号砲に合わせてスタートしたレースは、1周目からハイスピードで進む。
早々にUCIワールドチーム勢が集団を崩し、そのまま数人が先頭グループを形成。
これを許すまいとメイン集団も自然とペースが上がり、山岳賞周回の3周目には先頭には20人程度しか残らない状況が生まれる。
この流れで、KINAN勢ではトマと山本大が先頭グループにジョイン。
マルコスと新城が第2グループに位置した。
多数のチームが複数人そろえたこともあり、先頭グループがそのまま逃げ続けるかに思われたが、2回目の山岳賞周回にあたる6周目で第2グループが本格的に加速。
古賀志林道の上りで一気にタイム差を縮めると、頂上からの下りで合流。
これが実質のメイン集団となり、約50人がひとまとまりに。
KINANメンバーは4人がそろい、ワールドチーム勢がコントロールする集団の中で後半戦に備えた。
レース半ばには1人、2人と集団から先行する選手が現れるが、展開を大きく動かすほどの脅威とはならない。
いずれも集団へと戻る流れが繰り返される。

均衡が破られたのは11周目。
古賀志林道の頂上手前でアタックがかかったことをきっかけにメイン集団が崩壊。
前線を一定ペースで追ったトマが、下りを経て合流に成功。残る3人は、追走を図る第2グループで終盤戦を迎える。
15人程度が先頭に生き残る中、古賀志林道の上りでアタックが頻発。
ただ、どれも決定的な動きまでは至らず、下りで次々と再合流。
トマも下りや平坦区間で合流をしながら、消耗を最小限にとどめて勝負どころへと向かう。

大きな局面がやってきたのは残り2周の後半。
ニールソン・パウレス選手(EFエデュケーション・イージーポスト)が単独でアタック。
トマはパウレス選手を追うグループに位置し、最終周回へと突入する。
快調に飛ばすパウレス選手を追って、追走メンバーも古賀志林道でペースアップ。
ここでトマが後方に残されるが、最終盤は上位フィニッシュをかけて激しいレースをまとめる形に。
結果的に、パウレス選手の逃げ切りが決まり、最後まで大崩れせず走り切ったトマは34秒差の8位。
最後の力勝負では差をつけられてしまったものの、高いカテゴリーのレースで存在感を示す好走を見せた。
このほかKINANメンバーは、山本大が20位、新城が26位、マルコスが30位で完走。
4選手とも40位以内の選手に付与されるUCIポイントも獲得。
チームとして合計65点を手にしている。
ワールドクラスのレースとしては事実上のシーズン最終戦にも位置づけられていた今大会。
世界が注目した一戦にあって、KINAN Racing Teamは確かな足跡を残した。
この先も続く日本国内のレースシーズンへ向けて、十分な収穫を得て大会を終えている。

KINAN Racing Teamの次戦は、三菱地所JCLプロロードレースツアーの栃木2連戦。
「グリーンシステムコーポレーション湧水の郷しおやクリテリウム」と「那須塩原クリテリウム」に出場する。
ジャパンカップ サイクルロードレース(144.2km)結果
1 ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)3時間37分49秒
2 アンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)+12秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チーム右京)+13秒
4 ヘルマン・ペルンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
5 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル)+17秒
6 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
8 トマ・ルバ(KINAN Racing Team)+34秒
20 山本大喜(KINAN Racing Team)+5分23秒
26 新城雄大(KINAN Racing Team)
30 マルコス・ガルシア(KINAN Racing Team)+5分28秒
DNF 山本元喜(KINAN Racing Team)
DNF 仮屋和駿(KINAN Racing Team)
●選手コメント
トマ・ルバ
「昨日のクリテリウムと同様に、スタートから全力で走ることを求められたレースになった。前夜のミーティングではこの動きに乗り遅れないことをみんなで意識していたので、50人程度に絞られた展開の中でもしっかりと集団に残ることができた。強いメンバーが多数出場していたレースで、ベストは尽くした。最後の2周が重要だと思っていて、そこでの力勝負に挑めたので私にとっては今年のベストレースの1つだと感じている。

ヨーロッパのチームにとっては、UCIワールドチームの昇降格がかかっていて、ジャパンカップを重視していたのだと思う。どのチームもベストに近いメンバーだったし、これまでになくハードなレースを構築していた。若い選手たちでも高いレベルの走りをみせているあたりがロードレース界の主流になっている。

ジャパンカップを走り終えて、今年も良いシーズンだったと感じている。特にシーズン後半は新型コロナ前のレーススケジュールに戻ってきた感覚があって、質の高いUCIレースをいくつも走れたことに満足している」
Report, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU
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