ツール・ド・熊野第2ステージ・古座川
山本元喜が逃げで魅せ、次に待つ山岳へ勢いをもたらす
山本元喜が逃げで魅せ、次に待つ山岳へ勢いをもたらす
●ツール・ド・熊野2025(UCIアジアツアー2.2)
5月9日 第2ステージ・古座川清流周回コース
41.5km+42.6km×2laps=126.7km
・出場選手
山本元喜
ネイサン・アール
レイン・タラマエ
宇賀隆貴
トマ・ルバ
新城雄大
5月9日 第2ステージ・古座川清流周回コース
41.5km+42.6km×2laps=126.7km
・出場選手
山本元喜
ネイサン・アール
レイン・タラマエ
宇賀隆貴
トマ・ルバ
新城雄大
KINAN Racing Teamのホームレース、ツール・ド・熊野は大会2日目。
5月9日に和歌山県古座川町で行われた第2ステージで、山本元喜が中盤から先頭に立ちしばしレースをリード。
終盤に捕らえられ逃げ切りとはならなかったものの、大会後半戦から勝負をかけるチームに勢いをもたらすチャレンジとなった。
5月9日に和歌山県古座川町で行われた第2ステージで、山本元喜が中盤から先頭に立ちしばしレースをリード。
終盤に捕らえられ逃げ切りとはならなかったものの、大会後半戦から勝負をかけるチームに勢いをもたらすチャレンジとなった。

6日に行われた和歌山城クリテリウムを経て、大会の本番が8日にスタート。
和歌山県印南町での第1ステージではKINANメンバーが安定感ある走りに終始。
途中では山本やトマ・ルバが先頭をうかがうシーンもあり、チーム状態の良さを感じさせた。
和歌山県印南町での第1ステージではKINANメンバーが安定感ある走りに終始。
途中では山本やトマ・ルバが先頭をうかがうシーンもあり、チーム状態の良さを感じさせた。

続く第2ステージは古座川町へと舞台を移し、町名と同じ河川「古座川」やこの地でしか見られない渓谷などを見ながらのレースに。
周回前半では3級山岳・平井峠がそびえ、選手たちの登坂力が試される。
一方で、周回半ばから後半にかけては下り基調。さらに、日本最大の巨岩である奇勝・一枚岩の横を通過。周長40km超のコースを3周回、126.7kmで争われる。
周回前半では3級山岳・平井峠がそびえ、選手たちの登坂力が試される。
一方で、周回半ばから後半にかけては下り基調。さらに、日本最大の巨岩である奇勝・一枚岩の横を通過。周長40km超のコースを3周回、126.7kmで争われる。

KINAN Racing Teamにとって古座川町は、「「自転車を活用した古座川の魅力発信に関する協定」を結ぶなど縁深い土地。
毎年春には「KOZAGAWA EXPERIENCE & RIDE」に招かれ、自転車を通じた協同にも取り組んでいる。
レースでも好結果を残すべく、選手たちはスタートラインに並んだ。
毎年春には「KOZAGAWA EXPERIENCE & RIDE」に招かれ、自転車を通じた協同にも取り組んでいる。
レースでも好結果を残すべく、選手たちはスタートラインに並んだ。

1.3kmのニュートラル走行の後リアルスタートが切られると、山本と宇賀隆貴が前をうかがう。
他のKINANメンバーも集団前方を固めて、レース構築を図っていくと、その態勢のまま1回目の3級山岳へ。
上位通過はならなかったものの、序盤から攻めの姿勢を見せていった。
他のKINANメンバーも集団前方を固めて、レース構築を図っていくと、その態勢のまま1回目の3級山岳へ。
上位通過はならなかったものの、序盤から攻めの姿勢を見せていった。

30km地点を通過した直後に3選手が飛び出し、そのまま先頭グループを形成。
のちに2人に減るも、メイン集団とは1分程度の差で先行。リーダーチームのソリューションテック・ヴィーニファンティーニが集団のコントロールを本格化すると、KINAN勢も前方で隊列を組んで次の展開に備える。
先頭2人は2回目の山岳ポイント通過後に集団がキャッチ。一時的に5人が先頭に立ったものの集団が容認せず、フィニッシュまで約60kmを残してレースはふりだしへと戻った。
のちに2人に減るも、メイン集団とは1分程度の差で先行。リーダーチームのソリューションテック・ヴィーニファンティーニが集団のコントロールを本格化すると、KINAN勢も前方で隊列を組んで次の展開に備える。
先頭2人は2回目の山岳ポイント通過後に集団がキャッチ。一時的に5人が先頭に立ったものの集団が容認せず、フィニッシュまで約60kmを残してレースはふりだしへと戻った。

こうした流れを変えたのは山本の動き。数人のアタックに同調し集団との差を広げると、やがて新たな3人逃げを編成。
着実にメイン集団とのタイム差を広げ、1分45秒ほどままで拡大。
残り46.5km(80.2km地点)で迎えた、この日2回目の中間スプリントポイントで山本が1位通過。
3秒のボーナスタイムを獲得して、なおも集団の追撃をかわそうと先を急いだ。
着実にメイン集団とのタイム差を広げ、1分45秒ほどままで拡大。
残り46.5km(80.2km地点)で迎えた、この日2回目の中間スプリントポイントで山本が1位通過。
3秒のボーナスタイムを獲得して、なおも集団の追撃をかわそうと先を急いだ。

最終の3周目を迎え、3級山岳へ向かう上り区間では集団に待機をしていたKINANメンバーが最前列へ。
追走ムードを下火にすべくペースを抑える。この間に山本は3回目の山岳ポイントを2位通過。
追走ムードを下火にすべくペースを抑える。この間に山本は3回目の山岳ポイントを2位通過。

1分前後のタイム差でリードを続けた山本だったが、下り基調でスピードを上げたメイン集団が迫り、フィニッシュまでおおよそ20kmを残して引き戻される。
集団はさらに加速度を増し、逃げ残った今村駿介選手(ワンティ・NIPPO・リユーズ)を追いかける。KINANメンバーもこの中に入って、最終盤に備える。
集団はさらに加速度を増し、逃げ残った今村駿介選手(ワンティ・NIPPO・リユーズ)を追いかける。KINANメンバーもこの中に入って、最終盤に備える。

しかし、数十秒のタイムギャップから劇的に縮まることはなく、好走した今村選手はそのまま逃げ切り。
10秒差とするのが精いっぱいだった集団は上位入りをかけたスプリントでフィニッシュ。
KINAN勢ではレイン・タラマエ、ネイサン・アール、トマ、新城雄大の順でレースを完了。少し置いて山本と宇賀も走り終えた。
10秒差とするのが精いっぱいだった集団は上位入りをかけたスプリントでフィニッシュ。
KINAN勢ではレイン・タラマエ、ネイサン・アール、トマ、新城雄大の順でレースを完了。少し置いて山本と宇賀も走り終えた。

レース半ばからの山本のアクションは逃げ切りこそならずも、今大会に賭けるチームの意欲を示す好走に。
このステージでは最終盤で数人が絡む落車が発生したが、KINANメンバーはこれらを回避し、次のステージへと駒を進めている。
このステージでは最終盤で数人が絡む落車が発生したが、KINANメンバーはこれらを回避し、次のステージへと駒を進めている。

翌10日から、大会は後半戦に。最難関である第3ステージは、熊野山地を駆ける本格山岳ステージ。
2級山岳・丸山千枚田を基点とす4周回が、今大会の覇権争いを左右する。
終盤にも難所が控えており、細かなアップダウンを経て、最後は丘の上に建つ熊野スカイパーク球場を目指しての急坂アタック。
3級山岳頂上にフィニッシュラインが敷かれ、1日を通して登坂力とパワーが問われるステージとなる。
このステージの結果が個人総合成績にも直接反映されることが予想されている。
2級山岳・丸山千枚田を基点とす4周回が、今大会の覇権争いを左右する。
終盤にも難所が控えており、細かなアップダウンを経て、最後は丘の上に建つ熊野スカイパーク球場を目指しての急坂アタック。
3級山岳頂上にフィニッシュラインが敷かれ、1日を通して登坂力とパワーが問われるステージとなる。
このステージの結果が個人総合成績にも直接反映されることが予想されている。
ツール・ド・熊野2025 第2ステージ 古座川清流周回コース(126.7km)結果
1 今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ)2時間55分44秒
2 ドゥシャン・ラヨヴィッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+10秒
3 ケイエ・ソーレン(ワンティ・NIPPO・リユーズ)
4 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)
5 ジェラルド・レデスマ(VC福岡)
6 トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル)
11 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team)
22 ネイサン・アール(KINAN Racing Team)
25 トマ・ルバ(KINAN Racing Team)
33 新城雄大(KINAN Racing Team)
51 山本元喜(KINAN Racing Team)+1分48秒
76 宇賀隆貴(KINAN Racing Team)+6分19秒
・個人総合時間賞
1 今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ)5時間51分31秒
2 ドゥシャン・ラヨヴィッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+3秒
3 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+14秒
4 ケイエ・ソーレン(ワンティ・NIPPO・リユーズ)+18秒
5 ベンジャミ・プラデス(VC福岡)
6 小石祐馬(JCLチーム右京)+19秒
14 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team)+22秒
19 ネイサン・アール(KINAN Racing Team)
20 トマ・ルバ(KINAN Racing Team)
27 新城雄大(KINAN Racing Team)
46 山本元喜(KINAN Racing Team)+1分57秒
87 宇賀隆貴(KINAN Racing Team)+8分58秒
・ポイント賞
17 山本元喜(KINAN Racing Team)5pts
18 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team)5pts
・山岳賞
7 山本元喜(KINAN Racing Team)3pts
13 トマ・ルバ(KINAN Racing Team)1pts
・チーム総合時間賞
1 ワンティ・NIPPO・リユーズ 17時間35分29秒
5 KINAN Racing Team +0秒
1 今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ)2時間55分44秒
2 ドゥシャン・ラヨヴィッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+10秒
3 ケイエ・ソーレン(ワンティ・NIPPO・リユーズ)
4 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)
5 ジェラルド・レデスマ(VC福岡)
6 トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル)
11 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team)
22 ネイサン・アール(KINAN Racing Team)
25 トマ・ルバ(KINAN Racing Team)
33 新城雄大(KINAN Racing Team)
51 山本元喜(KINAN Racing Team)+1分48秒
76 宇賀隆貴(KINAN Racing Team)+6分19秒
・個人総合時間賞
1 今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ)5時間51分31秒
2 ドゥシャン・ラヨヴィッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+3秒
3 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+14秒
4 ケイエ・ソーレン(ワンティ・NIPPO・リユーズ)+18秒
5 ベンジャミ・プラデス(VC福岡)
6 小石祐馬(JCLチーム右京)+19秒
14 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team)+22秒
19 ネイサン・アール(KINAN Racing Team)
20 トマ・ルバ(KINAN Racing Team)
27 新城雄大(KINAN Racing Team)
46 山本元喜(KINAN Racing Team)+1分57秒
87 宇賀隆貴(KINAN Racing Team)+8分58秒
・ポイント賞
17 山本元喜(KINAN Racing Team)5pts
18 レイン・タラマエ(KINAN Racing Team)5pts
・山岳賞
7 山本元喜(KINAN Racing Team)3pts
13 トマ・ルバ(KINAN Racing Team)1pts
・チーム総合時間賞
1 ワンティ・NIPPO・リユーズ 17時間35分29秒
5 KINAN Racing Team +0秒

●選手コメント
山本元喜
「2周目後半に逃げ狙いの動きがあって、はじめはレイン(タラマエ)が動いていたけどマークが厳しい様子だったので、代わりに自分が先頭に合流する形をとった。レースペースそのものが速かったこともあって、逃げているうちに脚にきてしまった。
(中間スプリント1位通過で)ボーナスタイムを獲っていたので、集団に戻ってからも位置をキープできれば総合成績で上位に行けるかと思っていたけど、集団内での落車で足止めを食ったこともあって後方でレースを終えることになった。一緒に逃げた今村選手が勝ったことを思うと、もう少しスマートに走れていれば良い結果で終えられたかもしれない。
ただチームとしては順調なので、今日の個人の結果には悲観していない。チームとして勝負するなら、ハードな上りがある明日のステージ。特に今年は、これまでと比べても格段に戦術的にもメンタル的にも落ち着いて走ることができている。そのあたりをチームの連携面に反映させたい」
山本元喜
「2周目後半に逃げ狙いの動きがあって、はじめはレイン(タラマエ)が動いていたけどマークが厳しい様子だったので、代わりに自分が先頭に合流する形をとった。レースペースそのものが速かったこともあって、逃げているうちに脚にきてしまった。
(中間スプリント1位通過で)ボーナスタイムを獲っていたので、集団に戻ってからも位置をキープできれば総合成績で上位に行けるかと思っていたけど、集団内での落車で足止めを食ったこともあって後方でレースを終えることになった。一緒に逃げた今村選手が勝ったことを思うと、もう少しスマートに走れていれば良い結果で終えられたかもしれない。
ただチームとしては順調なので、今日の個人の結果には悲観していない。チームとして勝負するなら、ハードな上りがある明日のステージ。特に今年は、これまでと比べても格段に戦術的にもメンタル的にも落ち着いて走ることができている。そのあたりをチームの連携面に反映させたい」
Report, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU