

山本元喜2位 全日本選手権ロードレース エリート レポート
全日本選手権ロードレースは山本元喜が激走の末に2位
レース後半での再三の仕掛けで得意の展開に持ち込む
レース後半での再三の仕掛けで得意の展開に持ち込む
●全日本選手権ロードレース エリート
6月22日 8km×20周回=160km
・出場選手
山本元喜
宇賀隆貴
宮崎泰史
新城雄大
6月22日 8km×20周回=160km
・出場選手
山本元喜
宇賀隆貴
宮崎泰史
新城雄大
ロードレース種目の2025年日本王者を決める全日本選手権は、大会2日目を6月22日に実施。
今大会の最終種目となった男子エリートは160kmで争われ、山本元喜が2位となる殊勲の走り。
気温30度を超える暑さの中での消耗戦は、レース後半に再三ライバルたちを揺さぶって得意の展開に持ち込んだ山本に味方した。
今大会の最終種目となった男子エリートは160kmで争われ、山本元喜が2位となる殊勲の走り。
気温30度を超える暑さの中での消耗戦は、レース後半に再三ライバルたちを揺さぶって得意の展開に持ち込んだ山本に味方した。

静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンターで2日間にわたって行われている今回は、まず大会初日に男子アンダー23と女子の両カテゴリーで日本王者が決定。
KINAN Racing Teamは男子アンダー23に柚木伸元と新宮颯太が出走。上位入りはかなわずも、今後への期待を感じさせるレース内容で終えた。
KINAN Racing Teamは男子アンダー23に柚木伸元と新宮颯太が出走。上位入りはかなわずも、今後への期待を感じさせるレース内容で終えた。

迎えた大会2日目は、いよいよ男子エリートの一戦。アップダウンが連続する8kmコースを20周回する160kmに設定され、前日同様に酷暑の中でのレース進行がどんな展開を引き起こすかが見ものとなった。
シーズンの大きなヤマ場へ、KINAN Racing Teamからは山本のほか、宇賀隆貴、宮崎泰史、新城雄大の4選手が出走。宮崎にとっては4月のレースで負った怪我からの本格的な復帰戦となる。
シーズンの大きなヤマ場へ、KINAN Racing Teamからは山本のほか、宇賀隆貴、宮崎泰史、新城雄大の4選手が出走。宮崎にとっては4月のレースで負った怪我からの本格的な復帰戦となる。

午前11時の号砲とともに120人を超える選手たちが一斉にコースへ。長き戦いへと踏み込んだ。
早い段階で数人が飛び出す様子も見られるが、一方でクラッシュも発生し全体的に慌ただしい序盤に。
3周目に入る段階で1人の飛び出しが決まり、その後散発的に数選手が追走。
4周目には3人の先頭グループが組まれ、のちに1人が合流。最大で4選手がレースを先導した。
早い段階で数人が飛び出す様子も見られるが、一方でクラッシュも発生し全体的に慌ただしい序盤に。
3周目に入る段階で1人の飛び出しが決まり、その後散発的に数選手が追走。
4周目には3人の先頭グループが組まれ、のちに1人が合流。最大で4選手がレースを先導した。

前を行く4人とメイン集団との差は、最大で3分まで拡大。
組織的に集団を率いるチームは出ないものの、主に登坂区間でペースが上がると自然と先頭ライダーとのタイムギャップは縮小傾向に。
中間地点を前に先頭グループの形勢が崩れ始めたこともあって、さらにその差は縮まっていく。
KINANメンバーはいずれも集団に待機し、後半に勝負する態勢を整えていった。
組織的に集団を率いるチームは出ないものの、主に登坂区間でペースが上がると自然と先頭ライダーとのタイムギャップは縮小傾向に。
中間地点を前に先頭グループの形勢が崩れ始めたこともあって、さらにその差は縮まっていく。
KINANメンバーはいずれも集団に待機し、後半に勝負する態勢を整えていった。

レースが半ばを過ぎると、逃げる選手は1人だけに。
タイミングを同じくして、メイン集団は上りでたびたびペースが上がる。
12周目には新城を含んだ数人のパックが形成され、状況次第ではそのまま前をうかがう態勢に。
ここは無理をせず集団へと戻る判断をするが、替わって山本や宇賀が動きを見せる。
14周目後半の長い上り区間で集団が割れると、2人で意識的にペースアップを図るなど、徐々にKINAN勢が流れを引き寄せていく。
タイミングを同じくして、メイン集団は上りでたびたびペースが上がる。
12周目には新城を含んだ数人のパックが形成され、状況次第ではそのまま前をうかがう態勢に。
ここは無理をせず集団へと戻る判断をするが、替わって山本や宇賀が動きを見せる。
14周目後半の長い上り区間で集団が割れると、2人で意識的にペースアップを図るなど、徐々にKINAN勢が流れを引き寄せていく。

大きな局面がやってきたのは4周目。金子宗平選手(群馬グリフィン)のペースアップをきっかけに、山本ら4選手が反応。ここも後続が時間をかけて再合流を果たすが、次の周回でも同様の動きがみられる。
KINAN勢はやはり山本と新城がチェックに入り、徐々に集団の人数が絞られていく中で優位な情勢を作り出す。
残り2周で小林海選手(JCL TEAM UKYO)が上りで加速すると、ここに合わせられたのは山本ら3選手。
4人の先頭グループで最終周回の鐘を聞き、日本の頂点をかけた戦いはクライマックスを迎えた。
KINAN勢はやはり山本と新城がチェックに入り、徐々に集団の人数が絞られていく中で優位な情勢を作り出す。
残り2周で小林海選手(JCL TEAM UKYO)が上りで加速すると、ここに合わせられたのは山本ら3選手。
4人の先頭グループで最終周回の鐘を聞き、日本の頂点をかけた戦いはクライマックスを迎えた。

ついに迎えた最後の8km。再三の小林選手の仕掛けに山本が食らいつき、そのままマッチアップへ。
完全に一騎打ちの様相となったが、残り4kmで小林選手がさらに踏み込むと、山本はついていけず。
最終局面は2番手を確実に押さえるための走りとなった。
完全に一騎打ちの様相となったが、残り4kmで小林選手がさらに踏み込むと、山本はついていけず。
最終局面は2番手を確実に押さえるための走りとなった。

2連覇を決めた小林選手から25秒遅れて、山本が最後のストレートを駆け抜けた。
2位でのフィニッシュは、エリートカテゴリーで4度目の表彰台。
2018年以来となる優勝と日本チャンピオンジャージ獲得とはならなかったものの、いま一度チーム力と山本の存在を大きくアピール。選手・スタッフが一丸となって戦った証となる快走だった。
2位でのフィニッシュは、エリートカテゴリーで4度目の表彰台。
2018年以来となる優勝と日本チャンピオンジャージ獲得とはならなかったものの、いま一度チーム力と山本の存在を大きくアピール。選手・スタッフが一丸となって戦った証となる快走だった。

山本の表彰台につなぐ役目を果たした新城と宇賀も最後まで走り切り、今大会は3選手が160kmの長丁場を完走。
宮崎もレース後半まで集団内でレースを続けており、良い状態で翌週に控える全日本選手権個人タイムトライアルに挑む。
シーズン前半の目標のひとつだった今大会では、上位進出を果たしたと同時に、夏以降のレースに向けた足掛かりにも。
チームとしての士気が上がり、心身とも充実した中で大事なレースへと向かっていく手ごたえを得ている。
宮崎もレース後半まで集団内でレースを続けており、良い状態で翌週に控える全日本選手権個人タイムトライアルに挑む。
シーズン前半の目標のひとつだった今大会では、上位進出を果たしたと同時に、夏以降のレースに向けた足掛かりにも。
チームとしての士気が上がり、心身とも充実した中で大事なレースへと向かっていく手ごたえを得ている。

次戦、全日本選手権個人タイムトライアルには宮崎が出走を予定。
29日に栃木県と群馬県にまたがる渡良瀬遊水地内に設定された43.8km(7.3km×6周回)で争う。
29日に栃木県と群馬県にまたがる渡良瀬遊水地内に設定された43.8km(7.3km×6周回)で争う。
全日本選手権ロードレース 男子エリート(160.0km)結果
1 小林海(JCL TEAM UKYO)4時間47分2秒
2 山本元喜(KINAN Racing Team)+25秒
3 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)+56秒
4 谷順成(宇都宮ブリッツェン)+1分21秒
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+2分33秒
6 孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
19 新城雄大(KINAN Racing Team)+8分52秒
30 宇賀隆貴(KINAN Racing Team)+12分12秒
DNF 宮崎泰史(KINAN Racing Team)
1 小林海(JCL TEAM UKYO)4時間47分2秒
2 山本元喜(KINAN Racing Team)+25秒
3 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)+56秒
4 谷順成(宇都宮ブリッツェン)+1分21秒
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+2分33秒
6 孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
19 新城雄大(KINAN Racing Team)+8分52秒
30 宇賀隆貴(KINAN Racing Team)+12分12秒
DNF 宮崎泰史(KINAN Racing Team)

●選手コメント
山本元喜
「先頭交代をするタイミングで小林選手がスピードを上げていったので、オールアウトギリギリだった自分には対応するのが難しかった。何とか脚を残しながら追いかけたいと思ったけれど、いっぱいいっぱいの状況では追いつくのは難しかった。その意味では純粋に脚の差が結果に表れたと思う。今日は力勝負に挑むと決めて臨んでいたので、それを実行できたことは良かった。
4人出走での有利・不利はあまり関係なかった。宇賀や(新城)雄大が他チームのチェックに動いてくれたので、危険な状況にはならなかったし、個々の力が反映されるコースなので不安はなかった。
この大会で結果を残すためにシーズンインから取り組んできていた。個人としてもチームとしても存在価値を何としても残したいと思っていたし、今日のためにコンディションを整えて、チームメートやスタッフにサポートしてもらっていた。実際にその価値は証明できたと思う。
とにかく、今日を走り終えられてホッとしている。シーズン後半に向けて間違いなく自信になる。先々のレースについては少し休んで、ゆっくり考えたい。」
山本元喜
「先頭交代をするタイミングで小林選手がスピードを上げていったので、オールアウトギリギリだった自分には対応するのが難しかった。何とか脚を残しながら追いかけたいと思ったけれど、いっぱいいっぱいの状況では追いつくのは難しかった。その意味では純粋に脚の差が結果に表れたと思う。今日は力勝負に挑むと決めて臨んでいたので、それを実行できたことは良かった。
4人出走での有利・不利はあまり関係なかった。宇賀や(新城)雄大が他チームのチェックに動いてくれたので、危険な状況にはならなかったし、個々の力が反映されるコースなので不安はなかった。
この大会で結果を残すためにシーズンインから取り組んできていた。個人としてもチームとしても存在価値を何としても残したいと思っていたし、今日のためにコンディションを整えて、チームメートやスタッフにサポートしてもらっていた。実際にその価値は証明できたと思う。
とにかく、今日を走り終えられてホッとしている。シーズン後半に向けて間違いなく自信になる。先々のレースについては少し休んで、ゆっくり考えたい。」
Report, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU