●那須塩原クリテリウム
10月23日（日）
1.8km×25周＝45km

・出場選手
山本元喜
仮屋和駿
山本大喜
中島康晴
新城雄大
畑中勇介

国内プロチームによるロードレースリーグ「三菱地所JCLプロロードレースツアー」は10月23日、2022年シーズンの第10戦として、那須塩原クリテリウムが開催された。
JR那須塩原駅の西側大通りを使って行われた45kmのレースは、現役ライダーとしては残り数戦となっている中島康晴が3位で表彰台の一角を確保。
序盤から激しい動きとなったレースであわや出遅れかというピンチもあったが、チーム力でカバーして上位進出を果たした。

秋の行楽シーズンが盛況を迎えている開催地の栃木県那須塩原市。
このクリテリウムも、地域活性化の一端となるべく昨年に続いてシーズン終盤の開催となった。
前日のグリーンシステムコーポレーション湧水の郷しおやクリテリウムが予期せぬ形でレースキャンセルとなったため、仕切り直しの一戦としての意味合いも高まる。
舞台となるのは1.8kmの周回コースで、それを25周。
ヘアピンカーブが3カ所と鋭角コーナーが2カ所ある以外は、直線かつフラット。
45kmというレース距離も関係し、ハイスピードバトルとなることは必至である。

KINAN Racing Teamは前日に続いて、山本元喜、仮屋和駿、山本大喜、中島康晴、新城雄大、畑中勇介の6人で出走。
公式戦の出走は残り2回となっている中島を表彰台に送り込むため、チームはスプリントをメインに戦術を組み立てていくことで意思統一を図った。

1周回のパレード走行の後にスタートが切られると、まず動いたのはKINAN勢。
仮屋、新城、山本大と断続的に先頭へと出てペースを上げていく。
プロトンはあっという間に長い隊列となり、戦前の予想通り速い展開で進行していく。

その情勢が一変したのは8周目。
ベンジャミン・ダイボール選手（チーム右京相模原）のアタックでメイン集団が崩壊。
ダイボール選手のスピードに続ける選手がなかなか現れないまま2周回ほど進む。
10周目に入ったところで山本大が追いつき、他選手と合わせて8人による先頭グループが形成される。
ただ、ここへ複数メンバーを送り込んだチームがある一方で、KINAN勢は5人が後方に取り残される状況。
山本大は先頭グループで次の展開を待ちつつ、残るメンバーで集団のペーシングを担って前線合流を目指すこととなった。

一時は25秒まで開いた先頭グループとメイン集団との差は、KINANメンバーの懸命のコントロールもあってレース後半に入って縮小傾向に。
仮屋、新城、山本元と牽引役を交代しながら前を追う。
この間、先頭では15周目に設けられた中間スプリントで山本大が1位通過し、スプリント賞の獲得を決める。

メイン集団は懸命の追走を実らせて、22周目に先頭合流を果たす。
ふりだしへと戻ったレースは、この時点でコース上に残った選手が13人。
最終的に、この選手たちだけが完走を果たす形に。KINAN勢では山本大と中島が最終局面へと向かっていくことになった。

23周目には2選手の飛び出し、24周目にはダイボール選手のアタックと終盤に入っても慌ただしい流れが続くが、ここは山本大がすべてチェックに動いて逃げを阻止。
中島でのスプリントに向けて、状況を整えていく。
最終周回では山本大みずからアタックに出て、他選手の消耗を誘う。
そして勝負はスプリントへ。中島は3番手で最後の直線へと入った。

スプリント勝負は、最後まで数的優位を維持したチーム右京相模原がレイモンド・クレダー選手をトップへと送り出し、それに続いた中島が3位を確保。
一時は追う状況になりながらも、何とか狙い通り中島のスプリントへと持ち込んで表彰台の一角を押さえた。

意外にも中島の今季トップ3はこれが初めて。
今シーズンで現役を退くことを表明しており、このレースを含めると公式戦は残り2戦。
表彰台では那須塩原駅タオルをかざすサービスも見せつつ、自身の好走を誇った。

このほか、前述のとおり山本大がスプリント賞を獲得。
こちらも次戦への活躍を誓い、今節を終えている。

栃木での2戦を終え、次週は山口へ。
「山口ながとクリテリウム」「秋吉台カルストロードレース」の2連戦をもって、今季のJCLシリーズは終了（JCLポイント付与対象レースをのぞく）。
秋吉台カルストロードレースは昨年山本大が優勝し、今年は連覇にチャレンジ。
さらには、中島が山口ながとクリテリウムで長年のプロキャリアを終える。
これまでの活躍と長きレースキャリアへの祝福の場ともなる。

那須塩原クリテリウム（45km）結果
1 レイモンド・クレダー（チーム右京相模原）1時間2分40秒
2 小野寺玲（宇都宮ブリッツェン）+0秒
3 中島康晴（KINAN Racing Team）+1秒
4 孫崎大樹（スパークルおおいたレーシングチーム）
5 西尾勇人（那須ブラーゼン）+2秒
6 ベンジャミ・プラデス（チーム右京相模原）
10 山本大喜（KINAN Racing Team）+13秒
DNF 仮屋和駿（KINAN Racing Team）
DNF 新城雄大（KINAN Racing Team）
DNF 山本元喜（KINAN Racing Team）
DNF 畑中勇介（KINAN Racing Team）

●選手コメント
中島康晴
「チームとして攻めていく意識でスタートして、それを実行する中で不利な展開になってしまった。ただ、（山本）大喜が先頭グループに入ってくれて、メイン集団ではみんなが自分のために牽いてくれた。正直何回もあきらめかけたが、みんなが最後の最後まで力を振り絞ってくれたので、何とかそれに応えようと走った。最終周回では大喜が良い動きをしてくれたので、自分はスプリントに集中することができた。力のあるスプリンターと勝負しての3位なので、この結果は誇って良いと思う。

沿道で振られていた応援フラッグはしっかり目に入っていた。今年一番といえるくらい苦しいレースだったが、たくさんの応援が力になった。自分にはあと1回チャンスがあるので、もう少し上へ行けるように最後まで集中して走りたい」

Report, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU