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KINAN RACING

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ツアー・オブ・ジャパン第5ステージ レポート

ライアン・カバナが再度の逃げで魅せたTOJ信州飯田
チーム総合をトップに上げて運命の富士山へ
●ツアー・オブ・ジャパン(UCIアジアツアー2.2)
第5ステージ 5月23日(木)
信州飯田 120.9km

・出場選手
孫崎大樹
ドリュー・モレ
レイモンド・クレダー
ライアン・カバナ
宮崎泰史
トマ・ルバ(第3ステージDNS)
国内最大級のステージレースであるツアー・オブ・ジャパン(TOJ)は中間地点を過ぎ、後半の戦いへ。
5月23日に長野県飯田市で行われた第5ステージでは、ライアン・カバナが第2ステージに続く逃げで攻めの姿勢を貫いた。
逃げ切りはならずも、メイン集団に残って最後はチーム最上位の5位でフィニッシュ。
ドリュー・モレとともに個人総合でも上位につけて、翌日に控える富士山での山岳ステージに向かう。
日本列島を東進中のTOJのプロトンは、前日に美濃での第4ステージを終えて大会を折り返し。
後半戦最初の戦いは飯田市が舞台になる。

例年タフな展開となるのがお決まりの丘陵コースは、下久堅小学校前を出発してすぐに周回コースへ。
1.7kmのパレード走行の後にリアルスタートが切られると、おおよそ10周回して下久堅小学校前へと戻ってくる。
1周あたり12.2kmのルートは、周回序盤から上りが始まって最大勾配10%超の急坂部も出てくる。
標高にして561mまで駆け上がったのちに、コーナーが連続するテクニカルなダウンヒルへ。
その最後には、信州飯田の名物“TOJコーナー”が待ち受ける。
周回を経るごとにサバイバル化するのがいつもの流れ。レース距離は120.9kmに設定される。
KINAN Racing Teamは昨年のこのステージでライアンが2位。
今大会はここまでドリューとともに個人総合でトップ10圏内に入っており、他チームからのマークが厳しくなる立ち位置にあるものの、チャンスあらばステージ優勝を狙っていく構えでスタートラインについた。
迎えたレースは、最初の周回(パレード走行を含む周を0周回とカウント)から10人近くが集団から飛び出したものの、実質の1周目に入って上り区間でいったんリセット。
代わって4人が抜け出したのをきっかけに、集団から次々とアタックがかかり、先行した選手たちはやがてひとつにまとまる。これが最大で15人となって、逃げの態勢へと移った。
集団はリーダーチームのJCLチーム右京がコントロール。
2周目以降はタイム差を1分30秒前後で推移する。
レース半ばまでこの状態が維持されるが、5周目に入って上り区間で先頭グループが3つに割れると、ライアンは確実に最前線に位置。
前に残った8人がさらにペースを上げてメイン集団とのタイム差を広げると、6周目の途中ではこの日最大の2分40秒差まで拡大した。
7周目に入ると、複数メンバーを先頭グループに乗せていたアスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチームが攻撃を開始。
断続的にアタックに出ると、各選手の脚の差が顕著に表れて5人まで絞り込まれる。
再三の仕掛けに対してはライアンが冷静に対処しつつ、2回目の中間スプリントポイントを2位、同じく3回目を1位で通過し、合計5秒のボーナスを獲得。
逃げ切りの可能性を残しながら最終周回の鐘を聞いた。
この頃にはJCLチーム右京のペーシングによって、メイン集団は50秒差まで接近。
上りが始まるとさらにスピードを上げて、逃げていた選手たちを吸収。
ライアンも集団に戻って、ドリューと宮崎泰史とともに最終局面に備えた。
下り区間で飛び出したニコラス・ヴィノクロフ選手(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)を追って、集団から数人が先行する形で最後の上りスプリントへ。
競り合いを制してヴィノクロフ選手が先着すると、次々と選手たちがフィニッシュへとなだれ込み。
逃げで魅せたライアンはスプリントでも力を見せて、5位でレースを終えた。
ライアンと同グループでドリューと宮崎もフィニッシュ。
チームメートのケアに尽くした孫崎大樹、スプリントステージを見据えるレイモンド・クレダーもきっちり走り切っている。
第5ステージまでを終えて、個人総合成績ではドリューの4位、ライアンの7位は変わらず。
また、この日はチーム内上位3選手のフィニッシュタイム合算で決めるチーム総合成績でKINAN Racing Teamが首位へ。
個人とチーム双方の成績を視野に入れながら、残りステージを進めていく。
大会はいよいよ大きな時局を迎える。翌24日に実施される第6ステージは、TOJのハイライトとなる富士山でのヒルクライム。
東京五輪ロードレースのメイン会場となった富士スピードウェイの西ゲートをスタートし、同五輪の個人タイムトライアルで使われたコースを4周回。そして向かうはふじあざみライン。

秀峰・富士山の上りは11.4kmで、平均勾配10%・最大勾配22%。
フィニッシュライン手前にも急勾配が待ち受け、最後の最後まで選手たちの力を試すコースが用意される。

レース当日の天気は晴れ予報。天候や気温が展開を左右することもある富士山での戦いだが、今回は良いコンディションのもとで勝負ができそうだ。
ツアー・オブ・ジャパン 第5ステージ(120.9km)結果
1 ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)3時間2分42秒
2 ダヴィデ・トネアッティ(イタリア、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)+3秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、ヴィクトワール広島)
4 石原悠希(シマノレーシング)
5 ライアン・カバナ(KINAN Racing Team)+9秒
6 アドネ・ファンエングレン(オランダ、ルージャイ・インシュアランス)
19 ドリュー・モレ(KINAN Racing Team)
23 宮崎泰史(KINAN Racing Team)
39 孫崎大樹(KINAN Racing Team)+2分22秒
61 レイモンド・クレダー(KINAN Racing Team)+11分33秒


・個人総合時間
1 ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCLチーム右京)12時間4分51秒
2 アナトリー・ブディアク(ウクライナ、トレンガヌサイクリングチーム)+15秒
3 カーター・ベトルス(オーストラリア、ルージャイ・インシュランス)+18秒
4 ドリュー・モレ(KINAN Racing Team)+19秒
5 ザッカリー・マリッジ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)+41秒
6 ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)+1分30秒
7 ライアン・カバナ(KINAN Racing Team)+1分35秒
25 宮崎泰史(KINAN Racing Team)+2分28秒
29 孫崎大樹(KINAN Racing Team)+4分9秒
62 レイモンド・クレダー(KINAN Racing Team)+29分25秒


・ポイント賞
5 ライアン・カバナ(KINAN Racing Team)34pts
18 ドリュー・モレ(KINAN Racing Team)17pts
30 レイモンド・クレダー(KINAN Racing Team)9pts


・山岳賞
4 ライアン・カバナ(KINAN Racing Team)9pts
9 ドリュー・モレ(KINAN Racing Team)5pts


・チーム総合
1 KINAN Racing Team 36時間18分31秒
●選手コメント
ライアン・カバナ
「人数の多い逃げで、力のある選手を選別していく必要があった。山岳賞を狙っている選手もいたので、それぞれに逃げのねらいが異なっていた。逃げ続けた5人で最後まで行きたかったけど、集団のスピードが上回っていた。逃げ切りはできなかったけど、調子は良かったからスプリントにもチャレンジした。

明日(富士山)については、ドリューのサポートをすることしか考えていない。残りのステージで何かトライできるかもしれないけど、今は明日のステージに集中する」
Report, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU
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