Loading...

KINAN RACING

NEWSNEWS

ツアー・オブ・ジャパン第6ステージ レポート

TOJ覇権をかけた富士山ヒルクライムはドリューの10位が最高
残る2日での挽回とステージ優勝を目指す
●ツアー・オブ・ジャパン(UCIアジアツアー2.2)
第6ステージ 5月24日(金)
富士山 66.6km

・出場選手
孫崎大樹
ドリュー・モレ
レイモンド・クレダー
ライアン・カバナ
宮崎泰史
トマ・ルバ(第3ステージDNS)
熱戦が続くツアー・オブ・ジャパン(TOJ)は、大会6日目にしていよいよ最大のヤマ場。
富士山5合目を目指すヒルクライムが行われ、KINAN Racing Teamはドリュー・モレのステージ10位が最高。宮崎泰史も11位で続いた。
このステージで個人総合順位に大きなシャッフルが発生し、同4位でスタートしたドリューは3つランクダウン。7位として残りのステージに向かうこととなった。
ここまで5ステージを終えている大会は、山岳での頂上決戦のときを迎える。
恒例の富士山ヒルクライムは、これまでと違わず第6ステージに設定された。
昨年はヒルクライム一発勝負の趣きだったレースは今回、東京五輪自転車ロードレースのメイン会場であった富士スピードウェイを出発し、五輪個人タイムトライアルに採用されたコースを4周回。
そののちに、“本番”とも言える「ふじあざみライン」の登坂へ。
ふじあざみラインの上りは全長11.4kmで、平均勾配10%・最大勾配22%を数え、世界にも誇るヒルクライムコースとして名高い。
上り始めて3kmは真っ直ぐ進み、そこからは山岳ならではのヘアピンコーナーが連続。
断続的に急坂区間をこなしながら、5合目のフィニッシュラインへ。
最後の500mも壁と称されるほどの難度で、難攻不落の山岳にふさわしい最終局面といえる。
ここまでKINAN Racing Teamはドリューを個人総合で4番手に送り込んでおり、得意の山岳で勝負をかける構え。
前日のステージ終了時にはチーム総合で首位に立っており、個人・チーム双方で上位進出へと向かう。
青空が広がり、気温20度を超えようかという暑さの中でレースはスタート。
富士スピードウェイを1周回のパレード走行の後、再度スタートラインについて戦いの幕開け。
リアルスタート直後にまずはライアン・カバナが仕掛けて、それを追随した5人とともに先頭グループを形成。先制攻撃で他チームにプレッシャーを与える。
五輪コース周回を進む間、先頭グループとメイン集団との差は最大で約2分まで開く。
前を行くメンバーでは、2周目と4周目の終わりに設定される中間スプリントポイントでの争いも激化。
2度ともライアンと寺田吉騎選手(シマノレーシング)が競る形になり、ライアンは1回目が2位、2回目は1位でそれぞれ通過している。

4周回を終えて、ふじあざみラインへ進むところで先頭グループが割れて、マックス・ウォーカー選手(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)のひとり逃げに。
ライアンは集団へと戻る選択をして、勝負をチームメートに託す。
メイン集団では数人が前をうかがう姿勢を見せているものの、おおむねリーダーチームのJCLチーム右京のコントロールで進行。
KINANメンバーではドリューと宮崎が好位置を押さえて上っていく。
形勢が大きく変化したのは残り8km。
ベンジャミン・ダイボール選手(ヴィクトワール広島)のアタックを口火に、逃げ選手をめがけての追撃が本格化。
ダイボール選手には2人が追いつき、その一方がリーダージャージのジョヴァンニ・カルボーニ選手(JCLチーム右京)。
この動きをチェックしたいドリューだったが反応が遅れ、追う側へ回る。
ドリューのペーシングは宮崎が担って、タイム差の縮小を図る。
しかし、登坂力の高い3選手の勢いは増すばかり。
逃げ選手をパスすると、そのまま富士山一番登頂をかけたステージ優勝争いへと移っていく。
ドリューは宮崎のペーシングのもと、上位をキープするための走りに。
結果的にステージ優勝はレースリーダーのカルボーニ選手となり、その後続々と選手たちがフィニッシュラインへとやってくる。
何とか踏ん張ったドリューは2分30秒差の10位でステージを終了。
その3秒後に宮崎も続き、ドリューのフォローをまっとうした。
KINAN勢は2人の後、孫崎大樹、ライアン、レイモンド・クレダーとレースを完了。
5選手で残り2ステージへと進むことが決まっている。
今大会の最難関ステージを終えた時点で、ドリューは個人総合で7位にランク。
前日までと3つ順位を落としているが、トップ10圏内をキープして残るステージでの再浮上を誓う。
趨勢が見えつつあるTOJだが、次のステージは勝利を狙う選手たちの激しいアクションで活発なレースとなりそう。
神奈川県相模原市を舞台とする第7ステージは、東京2020五輪のロードレースで使われたコースを一部活用し、都市部から丘陵地帯へと景色が変化する中を進む。
ワンウェイ区間を経て、鳥居原ふれあいの館を基点とする周回コースに入り、13.8kmを7周回。
レースの総距離としては107.5kmとなる。ワインディングロードを縫うように走るハイスピードサーキットで、周回後半の上り基調も選手たちの脚を試すポイントになる。
ツアー・オブ・ジャパン 第6ステージ(66.6km)結果
1 ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCLチーム右京)2時間11分53秒
2 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム)+21秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、ヴィクトワール広島)+23秒
4 アドネ・ファンエングレン(オランダ、ルージャイ・インシュアランス)+41秒
5 ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)+58秒
6 小林海(マトリックスパワータグ)+1分10秒
10 ドリュー・モレ(KINAN Racing Team)+2分30秒
11 宮崎泰史(KINAN Racing Team)+2分33秒
24 孫崎大樹(KINAN Racing Team)+7分16秒
46 ライアン・カバナ(KINAN Racing Team)+14分38秒
52 レイモンド・クレダー(KINAN Racing Team)+17分9秒


・個人総合時間
1 ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCLチーム右京)14時間16分44秒
2 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、ヴィクトワール広島)+2分7秒
3 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム)+2分10秒
4 ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)+2分28秒
5 ザッカリー・マリッジ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)+2分42秒
6 アドネ・ファンエングレン(オランダ、ルージャイ・インシュアランス)+2分49秒
7 ドリュー・モレ(KINAN Racing Team)
13 宮崎泰史(KINAN Racing Team)+5分1秒
24 孫崎大樹(KINAN Racing Team)+11分25秒
28 ライアン・カバナ(KINAN Racing Team)+16分13秒
59 レイモンド・クレダー(KINAN Racing Team)+46分34秒


・ポイント賞
4 ライアン・カバナ(KINAN Racing Team)42pts
17 ドリュー・モレ(KINAN Racing Team)17pts
30 レイモンド・クレダー(KINAN Racing Team)9pts


・山岳賞
7 ライアン・カバナ(KINAN Racing Team)9pts
11 ドリュー・モレ(KINAN Racing Team)6pts


・チーム総合
1 チームブリッジレーン 43時間2分47秒
3 KINAN Racing Team +3分42秒
●選手コメント
ドリュー・モレ
「何と言ったらよいか…悔しいし、申し訳ない。全力を尽くしたけど、今日の僕には強い脚がなかった。

正直、理由は分からない。昨年のこの大会と比べて、走りそのものが良くないことは明らかだ。いなべ(第3ステージ)での走りを考えると体調が悪いとは思えない。回復がうまくいかなかったのかもしれないし、何が問題だったかを確認する必要がある。

明日もう一度トライできるか試してみたい。もちろん僕だけでなく、ライアンや孫崎、宮崎にもチャンスはある。リーダーチームがコントロールする中で、どうやったら勝てるかを考えたい。」
Text, Edit: Syunsuke FUKUMITSU
Photos:Ryo KODAMA, Syunsuke FUKUMITSU
SHARE THIS:
  • FaceBook
  • Twitter
  • LINE